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腰椎椎間板ヘルニアの病態④

ヘルニアが自然に小さくなる理由って?

臨床の現場にいると、腰椎椎間板ヘルニアって大部分は勝手に小さくなる患者さんが多いと感じます。実臨床だけでなく、研究や論文でもそれは明らかです。

では、どのような仕組みでヘルニアが小さくなるのでしょうか?

64人の患者さんから摘出した椎間板ヘルニアを、病理検査(ヘルニアを色で染めて顕微鏡で観察する検査)で調べた研究があります。普通はあるはずのない小さな小さな血管が、飛び出したヘルニアにたくさん入り込んでいたのです。この小さな小さな血管を「新生血管」と言います。新生血管は、飛び出したヘルニアの先頭のあたりや、ヘルニアが背骨をつなげる靭帯を突き破っていた場合に多くできてました。

病理検査を行った別の研究では、飛び出したヘルニアの表面に、「炎症」が起こって、炎症でできた「膜」で覆われた跡がありました。炎症とは、身体の中が普通と違う状態になった時に、体の免疫の仕組みによって、色んな細胞(いらないものを食べてくれる)が集まることです。この炎症が起こると、椎間板ヘルニアは段々と小さくなっていき、そして周りの正常な組織と癒着するようになります。

集まった細胞は、直接ヘルニアを食べるだけでなく、いろんな「サイトカイン」という細胞同士の連絡に使うための物質や「MMP」というヘルニアを分解する物質を放出します。これらの物質も飛び出したヘルニアの周りにたくさん発見されました。

結局、飛び出した椎間板ヘルニアは、体の中で「要らないもの」、「害のあるもの」、「異物;体とは別のもの」として免疫の仕組みが働いて、ヘルニアの周りには炎症が起こって、だんだんと小さくなっていく・・・

最初は、新生血管ができることが大事。血管ができれば、そこから色んな細胞、免疫の仕組みが血流に乗って集まってきます。新生血管ができるかどうか・・・これが、ヘルニアが小さくなるかどうかの分かれ目難ですね。

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