(1)カルシウム薬
カルシウムと骨は、つねに動いています。
といっても、分かりにくいですね。新陳代謝がいつも行われているということです。
例えていえば、「カルシウムと骨」の関係は、「お金と銀行」の関係とよくにています。
カルシウムは骨の材料ですが、体の中での働きはそれだけではありません。体を形作る一つ一つの細胞は、カルシウムなどを使って生活しています。
ヒトが銀行でお金を出し入れして生活していることと同じで、細胞は骨からカルシウムを出し入れしていることで生きているのです。
お金がなくなると、貯金を切り崩してでも生きていかなくてはいけません。
カルシウムがなくなると、骨を切り崩してでも細胞は生きていこうとします。
細胞の周囲にカルシウムが足りなくなると、副甲状腺というカルシウムの番人がそれに気づいて、ホルモンを出します。そのホルモンが骨からカルシウムを切り取ります。
カルシウムが十分だと、副甲状腺はホルモンを出さなくなります。すると、骨にカルシウムがたまっていきます。
要するに、十分な量のカルシウムが細胞の周りにあればいいのです。十分な量のお金が家庭にあればいいのとよくにています。
そこで、カルシウムを体の中に十分補充することが重要となってきます。
いろんな理由から食事で十分にカルシウムが摂取出来ない時などは、カルシウム薬を摂取します。
ただし、たくさんとればいいというわけではありません。副反応の可能性もあります。
多くは、胃腸障害です。
腸から吸収する量を上回っていると、腸の中にカルシウムが残って便秘をきたします。
腸から吸収する量を増やすビタミンDを一緒に服用すると、高カルシウム血症(血のなかにカルシウムが多すぎる)となります。そうなると、心臓血管の障害がでてくる可能性もあります。
家庭にお金がありすぎると、いろんな弊害がでてくることとよく似ています。
食事とカルシウム薬を合わせて1日に1,000mg程度がちょうどいいといわれています。また、一気に1,000mgをとるよりも、2-3回にわけたほうが良いです。
カルシウム薬だけで、骨粗鬆症に対してどのような効果があるのか?ほかのお薬を使わなかった場合、研究結果を以下に書いておきます。
骨密度;わずかですが上昇します。
背骨の骨折;抑制します。
股関節の骨折;残念ながら抑制しません。
カルシウム薬だけでは、骨折に対しては弱いという結果です。
次からは、別のお薬についても発信していきます。
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