食事療法1
骨粗鬆症だけではなく、全ての病気に対する食事療法、また健康を維持するための食事の原則は、「エネルギーと様々な栄養素をバランスよく摂取すること」です。当たりまえのことなのですが、なかなか難しいですね。
骨粗鬆症の食事について、これはダメ!という食品はありません。骨粗鬆症は御高齢の方が多く、それでなくても胃腸の働きが弱っている場合もあります。楽しく、美味しく、幅広く食品をとるように心がけましょう。
骨粗鬆症の治療という観点で重要な栄養素は、やはり「カルシウム」「ビタミンD」「ビタミンK」「その他」です。
カルシウムは、陸上で生活する動物にとって、絶対なくてはならない栄養素です。その働きは、筋肉を収縮させる、神経を働かせる、ホルモンを分泌する、細胞の一つ一つが働くための酵素を調節するなどといったものがあります。
つまり、カルシウムがないと動物、人間は生きてゆけません。
カルシウムは成人では、約1kgくらい体の中にあります。カルシウムは、その99%が骨とか歯に蓄えられています。そして必要な時に骨から取り出したり、骨に預けたりされています。骨はまるで、カルシウムの銀行みないなものです。
カルシウムは、毎日食べ物から吸収されます。胃酸によって、食べ物からカルシウムが溶け出し、腸を通じて取り込まれます。成人では、1日に600mgくらいのカルシムを口から摂取したとすると、だいたい腸から100-150mgくらい体の中に入ります。
そして、体のなかのいろんな場所で使われて、残ったら骨に貯金されます。
ところが、逆に、カルシウムは腎臓から尿の中に、1日に100-150mgくらい排出されます。
つまり、しっかりカルシウムを摂取しないと、どんどんオシッコからカルシウムがなくなっていきます。すると、骨の貯金がどんどん崩されていくのです。結果、、、骨粗鬆症となります。
体の中では、実際には、もっともっと複雑にカルシウムが出たり入ったり、調節されています。
それでも、簡単に結論づけると、骨密度、骨の量を維持するためには、平均的に600mgくらいを摂取している方は、毎日100-200mgくらいは多めを目指すのがよさそうです。
この表は、「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版」から抜粋したものです。
何をどれくらい食べれば良いのか?
大まかにわかるようになっています。だいたい1日に800mgくらいのカルシウムを摂取していると、骨の量が維持できそうです。
ここで、注意が必要です!
骨の量を増やすために、カルシウムをたくさん取れば取るほどいいのか?
そうではありません。
例えばサプリメントなどで大量にカルシウムを摂取すると、急激に血の中のカルシウムが増加しすぎて、高カルシウム血症になったり、腎臓に負担がかかりすぎて慢性腎臓病になったり、不整脈や体の震えなどがでたりと、、副作用も注意しなければいけません。
上の表のように、まんべんなくバランスの良い食事を心がけることが重要なのです。
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