骨粗鬆症による骨折とは、骨の量が少なくなり(スカスカ)、そして骨の質が悪くなる(ボロボロ)ことによって、ちょっとした力でボキッと折れてしまうような骨折です。
これを「脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)」といいます。
ちょっとした力って、どんな力でしょうか?
立った姿勢から転ぶくらいか、それ以下の力といわれています。
骨粗鬆症による骨折が起こりやすい部位は、背骨、股関節、すね、手首、二の腕、肋骨などです。
また、痛みを伴う骨折を「臨床骨折」といいますが、痛みがなくてたまたまレントゲンを撮影したら見つかった骨折を「形態骨折」といいます。
臨床骨折は形態骨折の半分です。たまたま見つかる骨折がとても多いのです。
つまり、痛くもなんともないけれど、知らぬ間に折れていることがとても多いということです。このように、患者さんが気付かないうちに折れてしまっている骨折を「知らぬ間に骨折」といいます。
股関節やすね、手首などが折れてしまうと、痛みが強くなくても、歩けなくなったり、手が使えなくなったりしてすぐに気づきます。
でも、背骨が知らぬ間に骨折を起こすと、本当にわからないままのことが長く続きます。
骨粗鬆症による、背骨の骨折は70-75歳では4人に1人が、80歳以上では4割の方にみられます。しかも、1個だけではなく、2個以上折れていることがしばしばあるのです。
2個以上おれた背骨は、その形は折れてしまったままです。すると、どんどん背中が曲がってしまいます。
本日、外来へこられた患者さんの中で、78歳女性の方がいらっしゃいました。
骨粗鬆症で背骨が4個折れて、変形していました。背中がとびだすくらい曲がって、また横にも曲がっています。身長が随分低くなり、背中の筋肉がいつもつっぱって痛みます。そして、食べ物を食べても、背中が曲がると胃が圧迫されて、”胸やけ”や”腹部膨満感”そして”食欲不振”、”便秘”、”痔”などを起こしたり、「逆流性食道炎」や「呼吸困難」を来します。
こんな状態では、患者さんの社会的生活、精神的生活に大きな影響が出てきます。
何か、消化器症状が続いたり、息苦しくなったり、身長が急に低くなったりした時、実は、その原因は骨粗鬆症によって背骨が折れてしまう「いつの間にか骨折」かもしれないのです。
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