手足のしびれや痛み、腰痛、肩こりでお困りの全ての方へ

  1. 病気の解説
  2. 5 view

腰痛に対する薬物療法①

本日の外来に、娘を連れたお母さんが受診されました。お母さんに痛みがあるのではなく、娘さんの腰痛のために付き添ってこられました。娘さんは16歳でした。

娘さんは、1-2か月前に腰痛をうったえて近くの整形外科を受診しました。腰椎椎間板ヘルニアが疑われて鎮痛剤を処方されましたが、なかなかよくならず腰椎MRIで詳しく検査したところ、たしかに腰椎の椎間板に変性(老化の所見)がありました。椎間板が老化すると弾力性がなくなって元に戻りにくくなります。その結果、椎間板の一部がヘルニア(元の位置から飛び出す状態)になっていました。

でも、それほどヘルニアはひどくなかったのです。そして、ヘルニアは右側にあって、左側にはありませんでした。

娘さんに、「どこが痛みますか?」と聞くと、「別に・・」といった顔をして、お母さんの顔を伺います。お母さんは「左側じゃなかったっけ?」と小声でいうと、娘さんは「左の腰が痛い。左の太ももも時々いたくなる」といいました。

別段、いたみは強くないのに、お母さんにいわれて、痛いふりをしていました。

まだまだ、はっきりと自分のことが表現できない、娘さんがお母さんの心配性のために、受診するにいたった例でした。

それどころか、お母さんは「知り合いの人に、普通の痛み止めは効かないから、リリカっていう薬をのんだらよくなるといわれて、それを出してほしい」といいます。

お母さんは、責任感が強いのでしょうね。心配性なんでしょうね。

娘さんが、ちょっとでも腰がいたいといえば、すぐに近くの診療所へ受診して、更に不必要な薬まで要求する・・・

私は、しっかりと神経診察を行い、足の筋力や腱反射、知覚検査をおこなった結果、下肢には症状がありませんでした。腰痛も右側にはないことを確認して、椎間板の変性がありますが、左側には椎間板ヘルニアはないことを説明して、リリカという強い薬をいきなり飲むのではなく、その他にできることをやってみるように提案しました。

薬って、万能ではありません。そして、副反応もあります。

特に、若いお子さんにはできるだけ内服させないようにすることが大事です。

十分に時間をとって、お母さんを説得し、すぐに強いお薬を飲むようなことはせずに、まずは保存的にコルセットなどで様子観察することとなりました。

じゃあ、腰痛の原因はなんだったのでしょうか?

その娘さんは、16歳で、身長が145cmでしたが、体重はなんと85kgでした・・・

もちろん、ダイエットを強くすすめたことはいうまでもありません。腰痛の原因としての生活習慣、特に肥満は明らかに原因となりますから。

次回から、腰痛と薬物治療について発信していきます。

病気の解説の最近記事

  1. 頚椎症性脊髄症との鑑別疾患

  2. 頚椎症性脊髄症の神経診断学

  3. 頚椎症性脊髄症の症状

  4. 頚椎症性脊髄症の病態生理

  5. 頚椎症性脊髄症の病態生理

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 彦根中央病院

    2022.02.13

PAGE TOP