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真面目な患者さん②

腓骨が痛い!!

 やはり私の外来でも、同じような主訴を述べられました。ご自身の痛む場所を、何とか理解してもらおうと、とても真剣に訴えられます。診察の間じゅう、下腿の前外側、膝より少し下のあたりをずっとさすっておられました。

 私は、ひとしきり患者さんの話を聞いたうえで診察に入ります。痛みの部位は下腿外前面でやや近位。昨年の秋頃から徐々に痛みだし、今年に入って立位保持ができなくなるようになってしまいました。下肢の外観は発赤や腫脹、熱感などなく圧痛もありません。膝関節にも炎症所見は見当たりません。下肢の筋力は、膝の伸展、足関節の背屈で低下していました。深部腱反射は膝蓋腱反射で左側に低下を認めていました。腰椎レントゲン、膝レントゲンを撮影しました。膝関節は特に所見はありません。腰椎では第4腰椎ですべり症と不安定症を認めていました。

 私の診断は、変形性腰椎症、腰椎すべり症を原因とする左第4腰神経根症!!これまで受診されたクリニックの先生方とは異なるものでした。

 患者さんに、診察結果を丁寧に説明しました。。

「えっ!」「腰ですか?」・・・「でも、痛いのは腓骨なんです!」

 私の説明には、十分に御理解ご納得はいただきました。でも高額を支払った再生医療はすでにキャンセルの時期が過ぎており、数百万円をみすみす捨てることもできず、患者さんは診察室でとても悩んでおられました。。

 いちど帰宅され、冷静になってこれまでの経過、私の診断とその解説内容をしっかり吟味されてから治療方針を決定することになりました。

 本日の夕刻に御連絡をいただきました。結局、再生医療は予定とおりに受けることにされたみたいです。再生医療のクリニックからは、細胞を注入してもすぐには効果が出ず、最低でも半年はかかるとのことでした。

 私のもとへ、患者さんが再診されるのは何時になることやら。。

 私の診断が正しいのか、再生医療クリニックと患者さんの判断が正しいのか。。蓋をあけるまで分かりません。

 今回の件で、改めて感じたことですが、丁寧に患者さんの訴えをきき、自分自身で診察し神経所見をとり、画像検査その他で診断を確定させる。しごく当たり前の診療手順ですが、それをおざなりにすると、患者さんは遠回りをします。真面目な患者さんであればあるほど、医者に伝えようとする気持ちがつよく、医者も判断に齟齬をきたします。逆に、どこが痛いのか、患者さんもはっきりと指摘できず「全部、痛いんです!」とおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

 大事なことは、患者さんと医師がお互いに丁寧に情報交換しながら、漠然とした症状であっても、だんだんと的を絞っていく・・地道な作業ですが、真摯に診察をすることが重要だと、いつも思うのです。

 この患者さん。。いつか私の外来へ再び来られることがあったなら、またしっかりと診療させていただきます。患者さんが、痛みの無い毎日を過ごせますように・・

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