午前の外来に来られた患者様・・神経鞘腫という脊髄腫瘍の方で、紹介元の病院では治療できないということで大津脊椎脊髄センターへ紹介となりました。
脊髄腫瘍・・・発生頻度は高くありません。また多くが良性腫瘍です!いろんな脊髄腫瘍がありますが、その中でも神経鞘腫と髄膜腫という腫瘍が大半を占めます。
良性腫瘍であることには変わりありませんが、腫瘍の発生する場所が・・・ちと難儀な腫瘍なのです。
脊髄は、背骨の中の隙間にあります。脊髄は硬膜という袋につつまれて、背骨のなかを、脳から腰のあたりまでのびています。
図の左側は、正常の脊髄と骨と硬膜の関係です。硬膜の中には髄液という水が流れています。その水のなかを脊髄がぷかぷか浮いている状態です。
図の右側、神経鞘腫は、脊髄から枝分かれした細かい神経を包む鞘が腫瘍化したものです。ごらんのとおり、おおきくなると脊髄を強く圧迫します。放っておくと、脊髄がいたみます。
脊髄腫瘍は、脊髄に癒着していたり、背骨の中の狭い隙間に充満していたりします。
治療は、摘出手術が最も有効です。ただし、手術は繊細な技術を要します。どこでもできるわけではありません。
外来受診された患者さんですが、これまで、大病をされたことがなく、ましてや手術なんて・・
外来診察室の扉を開けた瞬間、「医者になにをいわれるのだろう」と緊張のあまり身体がこわばって、しばらくの間、私の顔をうかがいながら立ちすくんでいた姿が印象的でした。
今は、不安でいっぱいだとは思いますが、きっちり腫瘍を摘出して、笑顔で退院していただけるように全力を尽くします!!
この記事へのコメントはありません。