創部感染。
外科医にとって、さけることはできない合併症の一つです。
我々、外科医は術中、術後、細心の注意を払って感染症が発生しないように努めます。それでも不幸にも、手術を行った部位に細菌が感染してしまうことがあるのです。
本日の外来は、石川県金沢の病院でした。7月中旬に頚椎の手術を行った方が、7月末に問題なく経過良好で退院されました。
手術をした部位は、かさぶたは少々ありましたが経過良好で退院の運びとなりました。
本日は、退院後2週間目、手術から1か月目の外来受診の日でした。
患者さん曰く、「退院するときは何の問題もなかった。退院後、2日目にシャワーを浴びて、その後から傷口から血が出るようになった」とのことです。奥さんを含めご家族も、手術の跡から小さな血が出ていることを確認していたらしいです。
おそらく、日常生活上の何らかの動作で傷を刺激し、傷口が開いてしまったのだと思われます。
血がでているとわかったときに、すぐ御連絡をいただければ適切な処置をできた可能性はあります。ただし、一般の方、患者さんには、何が重要で、何が重要でないかはわかりません。
私たちは、退院後も何かトラブルが、ほんのわずかでも起こった場合は、御連絡をいただけるように説明をしますが、患者さんに伝わらないこともあります。
本日、患者さんの傷口からは少ないですが膿が出ていました。
すぐに採血、培養検査、MRI検査、傷口の切開と排膿、抗生剤投与、入院経過観察など迅速に処置を行いました。
でも、傷口の深いところに細菌が、膿がこれからたまっていくかもしれません。
今後も、慎重に、この患者さんの治療にあたります。
医療は、ほんとにいろんなことが起こります。
いつも通り、普通に経過して良くなる方がほとんどですが、そうでない患者さんも僅かですがいらっしゃいます。
それでも、我々医療者は、責任をもって全ての患者さんが良くなるようにベストを尽くします。
また、経過を報告したいと思います。
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