皆さんこんばんわ。今回のブログの内容は、腰椎椎間板ヘルニアについてです。
腰椎椎間板ヘルニア・・・とても多い疾患です。
椎間板とは、背骨と背骨の間にあるクッションのようなもので、背骨同士が擦れあわないようにしてくれる大事な組織です。
椎間板は車のタイヤのような線維輪と、その中にあるゼリー状の髄核でできています。
この椎間板は、残念ながらすぐに老化します。だいたい18歳くらいからといわれています。ちょっとした負担が背骨にかかると、線維輪がいとも簡単に破れて中身の髄核が飛び出し、近くにある神経を強く圧迫します。
すると・・腰、お尻、足に稲妻のような痛みが走ります。電気ショックを受けたみたいです。
このような状態を椎間板ヘルニアといいます。腰椎で起これば腰椎椎間板ヘルニア、頚椎で起これば頚椎椎間板ヘルニアとなります。
今日の私の外来診察室に来られた患者さんは、36歳の男性です。つい先日の5月5日に、落ちた荷物を取ろうとして腰をかがめた瞬間に、たったのこれだけで左のお尻から足の裏面に稲妻が走ったということです。。
その日は我慢していましたが、夜中も痛みで眠れない時間を過ごしたようです。次の日も、左足の稲妻は続きます。耐え切れずに近くの整形外科を受診しました。ロキソニンという鎮痛剤などが処方されましたが、全く効きません。仕事にも行けず、家の中でも這うようにして過ごしていました。
2日ほど我慢して耐え切れず、私を受診されました。さっそく診察しましたところ、左足首の底屈(つま先立ち)ができません。そして私が左足を持ち上げると稲妻が走ります(これはSLRテストという診察法です)。腱反射は左アキレス腱で消失しています。その他の神経診察を行って、「第5腰椎と第1仙椎の間で起こった腰椎椎間板ヘルニア」が、「左の第1仙骨神経」を圧迫しているものと診断しました。
腰椎の画像検査を行ったところ、私の診断が証明されました。よく我慢されたと思います。
さて、治療の方ですが・・・腰椎椎間板ヘルニアという疾患は、飛び出した髄核は、基本的には自然に小さくなって神経の圧迫もなくなります。およそ1-3か月で10人中、8人の患者さんが「勝手に」良くなります。
あんなに足に稲妻が走っていたのに、まるで無かったかのように良くなることが多いです。でも、良くなるまでの期間が患者さんによって色々です。3か月ギリギリまでかかる方もいれば、1週間で痛みがとれる方もあります。
また、3か月以上たっても良くならない場合は、それ以上我慢しても良くなりません。それが10人中、2人くらいです。その場合は、手術治療を行います。今日の患者さんは、もう待てない、仕事にも行きたいという事情があり、近日中に手術を予定しました。
ここで注意点ですが・・・この疾患は自然に良くなるとはいえ、発症時の段階で、「強烈で激烈」な椎間板ヘルニアに対しては緊急手術が必要です。「強烈で激烈」とは、①足がぶらんぶらんになるくらい力が入らない場合、②おしっこが出せなくなる(椎間板ヘルニアが大きすぎると、尿を出す神経もダメージをうけます)場合です。
「強烈で激烈」を放っておくと・・・その後、足がずっと動かない、おしっこが自分で出せなくなります。
今日の患者さんは、「強烈で激烈」ではありませんでした。良かった良かった。しっかりと手術で治療して、早く仕事に復帰できるよう全力を尽くします!!
腰椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板ヘルニアでお困りの方、治療法などについて迷っている方へ。医療相談を受け付けます。コメント欄へ相談内容を記載してください。時間の許す限り対応いたします。
それでは、痛みの無い日々を目指して!
この記事へのコメントはありません。