
初めまして。コロナ禍の中、皆様どうにお過ごしでしょうか?そのような中で迎えた「こどもの日」ですが、本日、大津脊椎脊髄センターとしてのブログを立ち上げました。本サイトは、医師として経験年数27年、脊椎脊髄専門医として25年の間、多くの患者様の診療にあたってきた著者が運営しています。現在コロナ感染症に多くの視線が注がれる中、コロナ感染症以外の通常の疾患、特に脊椎脊髄疾患のために腰痛や肩こりといった日常的にみられる症状をはじめとして、四肢の痛みや痺れ、歩行障害や排尿障害などの神経症状でお困りの患者様がたくさんいらっしゃいます。そのような患者様に一人でも多く、私が日々の診療、研究活動において気づいたこと、知り得た知見、またお伝えしたいことなどを発信する目的で本ブログサイトを続けていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
さて、ヒトは有史以来そのずば抜けた知性をもって様々な困難に打ち勝ち現在に至るわけですが、その根本は二足歩行によって肥大した大脳を脊柱で支えることができたからです。その脊柱の仕組みですが、たくさんの椎骨が椎間板というクッションをはさんで連なり、靭帯で連結されている構造をとっています。連結された椎骨のすぐ後ろには脊髄という中枢神経が頭から腰の位置にまであって、その脊髄からはたくさんの神経が椎骨と椎骨の間から体や手足にのびています。子供のころのような若いうちは、脊髄や神経は少しの圧迫もなく脳からの命令を手足に伝え、また手足からの情報を脳へフィードバックすることができます。

ところが、脊柱のなかの椎間板は、ヒトの年齢が10代後半になろうとするころに早くも老化が始まってしまいます。これは、ヒトが二足歩行することによって支持性の弱い、頚椎や腰椎に多くの負担がかかってしまうことが原因です。およそ18歳以降、体重を支え続けてきた椎間板はその弾力を失ってしまうため、果たして椎骨同志がクッションのない状況で連結されます。結果、椎骨は変形、肥厚し、または骨棘(こつきょく)といわれる厄介な棘ができてしまいます。
この厄介な変形や骨棘は、近くにある脊髄や神経を強く圧迫してしまいます。その神経への圧迫こそが痛みと痺れの原因です。我々、脊椎脊髄外科医は、患者様の訴える症状から圧迫されている神経の場所をおおよそつかみ、専門的な診察によって得られた神経学的所見によって、その神経を特定します。最後に、画像検査やブロック検査、さらには血管撮影や電気生理学的な検査など多種様々な検査を行って、特定した神経が間違いなく悲鳴を上げていることを証明します。
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