手術とは、患者さんと医師とが、その利点欠点を十分に説明して、理解し納得して受けるものです。
しかも、患者さんお一人だけではなく、その患者さんを日頃から支えておられるご家族やキーパーソンといわれる方の同意がない限りは、ぜったい行えません。
特に、機能外科といわれる脊椎脊髄の手術は尚更大事な要素となります。
本日の外来に、20年以上前に手術を受け、その後遺症でお悩みの患者さまが受診されました。現在の大津脊椎脊髄センターではなく、別の施設での手術でした。
その患者さんは、画像上、もう再手術などはできなくて、足が動かなくなっていました。診察中、ずっと、手術を執刀した医師への不満を述べておられました。
私は、なすすべもなく、その患者さんの訴えを傾聴し、今後の新しい医療に期待すべく丁寧に説明し、ご納得いただきました。
この方は、当時の執刀医や主治医との十分な納得ができていなくて、トラブルに発展したケースです。
また、病棟では、明日の手術を予定していた女性患者さんが入院されていました。
ところが、あらかじめ外来診察時にお渡ししていた手術同意書を、ご持参されませんでした。理由は、外来での説明時に不在であった御主人が、ご納得されておらず、同意書を提出できないとのことでした。
私が、今一度、電話にてご主人に手術のメリットとデメリットなどをご説明しましたが、迷っておられました。
そんな時ですが、手術が絶対に行ってはいけません!!
かならず、ご本人だけでなく、ご家族、キーパーソンのご納得、ご同意がなければ、我々治療をすすめることができません。
よって、その患者さんは、退院となりました。
今後、もう一度、はじめから病状の評価と手術のメリットとデメリットを検討して、適応があれば説明のうえ、仕切り直したいと考えています。
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